今年も、最低賃金の改定シーズンがやってきました。

「毎年のことだから」と後回しにしてしまいがちですが、対応が漏れると法令違反になってしまう、実は見落としやすいポイントがいくつもあります。今回は、最低賃金が変わるときに確認しておきたいことを、実務目線でまとめてみました。

今年も最低賃金が変わります

2026年度も、全国的に最低賃金の引き上げが決まっています。物価の上昇もあり、引き上げ幅は近年でも大きい水準です。

「うちは正社員ばかりだから関係ない」と思われるかもしれませんが、後ほどお伝えする通り、月給制の方にも関わってくる話ですので、ぜひ最後まで読んでみてください。

発効日は都道府県によって違います

意外と知られていないのですが、最低賃金が変わるタイミングは、全国一律ではありません。都道府県ごとに発効日が決まっていて、10月1日から適用されるところもあれば、10月中旬から適用されるところ、11月にずれ込むところもあります。

例えば京都府は、2026年11月16日からの適用予定です。

「うちの地域はいつから?」という点は、必ず都道府県労働局のホームページなどで確認しておきましょう。同じ関西圏でも、大阪と京都で発効日が違う、ということも普通に起こります。

給与の締め日をまたぐときは要注意

ここが実務上、一番間違いやすいポイントです。

例えば給与の締め日が「毎月20日締め」の会社で、最低賃金が11月16日から変わるとします。この場合、

  • 11月16日より前の労働分:改定前の最低賃金
  • 11月16日以降の労働分:改定後の最低賃金

というように、同じ給与計算期間の中で、新旧の賃金を分けて計算する必要があります。「月初から適用すればいいだろう」と思い込んでしまうと、知らないうちに最低賃金を下回ってしまうことがあるので注意してください。

時給の方だけでなく、月給の方も必ず確認を

「最低賃金=パート・アルバイトの話」というイメージを持たれがちですが、実は正社員などの月給制の方にも関係があります。

月給を時給に換算したとき、最低賃金を下回っていないか、という点は法律上のチェックが必要です。計算方法の目安は以下の通りです。

月給 ÷ 1か月あたりの平均所定労働時間 = 時給換算額

この計算時に、手当を含むかどうかは手当の性質によって変わってきます。この時給換算額が、地域の最低賃金を下回っていないか、改定のたびに確認しておくと安心です。特に、最低賃金に近い水準で月給を設定している場合は要チェックです。

最低賃金が変わったときにやることリスト

改定に合わせて、確認・対応しておきたいことをまとめました。

  • 給与そのものの見直し:時給・月給が新しい最低賃金を下回っていないか確認する
  • 雇用契約書の確認:契約書に時給額を明記している場合は、改定内容を反映し、必要に応じて再契約・通知を行う
  • 就業規則・賃金規程の確認:賃金に関する規程がある場合は、内容が現状と合っているか見直す
  • 社会保険への影響確認:昇給によって標準報酬月額が変わる場合、社会保険料の随時改定(月額変更届)が必要になることがある
  • 助成金の活用検討:賃上げに伴う設備投資などを行う場合は、業務改善助成金が使える可能性がある

一つずつは小さな確認事項でも、まとめて対応しようとすると意外と時間がかかるものです。余裕を持って早めに着手しておくことをおすすめします。

業務改善助成金も活用してみましょう

最低賃金の引き上げは、特に人件費の負担が大きい小規模事業者にとって、決して小さな影響ではありません。

そんなときに検討したいのが「業務改善助成金」です。事業場内で最も低い賃金を一定額以上引き上げ、あわせて生産性向上のための設備投資などを行った場合に、その費用の一部について助成を受けられる制度です。

「賃上げはしたいけれど、負担が心配」という場合は、こうした制度の活用もあわせて検討してみてください。

まとめ

最低賃金の改定は毎年のことですが、

  • 発効日は都道府県ごとに違う
  • 締め日をまたぐときは新旧の賃金を分けて計算する
  • 時給の方だけでなく月給の方も確認が必要
  • 契約書・就業規則・社会保険まで、やることは意外と多い

という点は、忘れずに押さえておきたいポイントです。

「うちの場合はどう対応すればいいの?」という個別のご相談も、お気軽にお問い合わせください。


※本記事は2026年9月7日時点の情報をもとに作成しています。最新の情報は、お住まいの都道府県労働局等でご確認ください。