「前回担当してくれたあの人、今日はいないんですね」「また新しいスタッフに変わってる」——お気に入りの担当者がいなくなるたびに、少し残念な気持ちになる。常連のお客様ほど、そう感じているはずです。

でもこれは、お客様だけの問題ではありません。オーナーにとっても、スタッフが定着しないことは経営の根幹に関わる問題です。育てたスタッフが辞める、また採用して育てる、また辞める——このサイクルが続く限り、サロンは安定しません。

なぜスタッフは辞めるのか。そしてどうすれば定着するのか。今日は「評価制度」という視点から考えてみます。


技術職の評価は、なぜ難しいのか

ネイリストやエステティシャンは、技術を売る仕事です。その技術の「良し悪し」をどう評価するか、これがオーナーにとって悩ましいポイントです。

「お客様の満足度で評価する」といっても、指名数が多い人が必ずしも技術が高いわけではない。愛想がよくて話しやすい人が指名を集めることもある。

「経験年数で評価する」といっても、3年いても成長しない人もいれば、1年で頭角を現す人もいる。

結果として多くのサロンでは、オーナーの「感覚」で評価が決まっています。頑張っているつもりなのに評価されない。何をすれば給与が上がるかわからない。そういったスタッフの不満が、じわじわと離職につながっていきます。


「感覚」で評価することの、3つのリスク

オーナーの感覚で評価することには、具体的にこんなリスクがあります。

スタッフのモチベーションが下がる 何をすれば評価されるかわからない環境では、向上心のあるスタッフほど「ここにいても先が見えない」と感じます。できるスタッフから辞めていく、というのはこういう理由からです。

オーナーとスタッフの認識がずれる オーナーは「あの子はまだ評価できるレベルじゃない」と思っている。スタッフは「これだけ頑張っているのに認めてもらえない」と思っている。この認識のズレが、突然の退職につながることがあります。

採用・育成コストが積み上がる ネイリストやエステティシャンは資格なしでも働き始められます。ただしその分、サロン側が現場で技術を育てる必要があります。基本的な施術を一人でこなせるようになるまでに数ヶ月、お客様から指名をもらえるレベルになるまでにはさらに時間がかかります。そのタイミングで辞められると、育成にかけたコストがまるごと消えます。


シンプルな評価制度の作り方

「評価制度」というと、大企業がやるような複雑なものを想像するかもしれません。でも小規模なサロンなら、シンプルでいいんです。

まず決めるのはこの3つだけです。

①技術のレベル分けを作る 「このメニューができればジュニア」「このメニューを一人でこなせればミドル」というように、技術習得の段階を言語化する。加えて、指名数やリピーター数のお客様からの評判を掛け合わせる。どうすれば次のステージに進めるかを、スタッフ全員が知っている状態を作る。

②給与との連動を明確にする ジュニアは時給〇〇円、ミドルは時給〇〇円、というように、技術レベルと給与を連動させる。「頑張ったら上がる」ではなく「これができたら上がる」という基準を作る。

③定期的に話す場を作る 月に一度、5〜10分でいい。「今どのくらいのレベルにいるか」「次のステップに向けて何が必要か」を一緒に確認する時間を作る。これだけでスタッフの安心感が大きく変わります。


定着するスタッフが増えると、何が変わるか

スタッフが定着すると、サロンには目に見える変化が起きます。

常連のお客様の「また来たい」という気持ちが強くなる。担当者が変わるたびに感じていた不満がなくなる。口コミや紹介が増える。採用・育成にかけるコストが減る。オーナーが現場以外のことに使える時間が増える。

「評価制度を整える」というのは、スタッフのためだけではなく、サロン全体の底上げにつながることです。


「どこから手をつければいいかわからない」という方へ

就業規則や評価制度の整備は、「やらなければ」と思いながらも後回しになりがちです。現場に出ながら経営もしているオーナーにとっては、当然のことだと思います。

でも、一人辞めるたびにかかるコストを考えると、早めに整えた方が長い目で見て楽になります。「うちの規模でそこまでやる必要があるのか」と思われる方も多いですが、小規模なサロンこそ、スタッフ一人一人の影響が大きい。だからこそ、早い段階で仕組みを作る価値があります。

「まず話を聞いてほしい」という段階からでも、お気軽にご相談ください。