「うちの講師はアルバイトだから、有給休暇は関係ない」
学習塾を経営されている方から、こういった声をよく聞きます。でも実は、これは大きな誤解です。
アルバイト・パートであっても、一定の条件を満たせば有給休暇は発生します。しかも2019年の法改正以降、条件を満たす従業員に対して年5日の有給休暇を取得させることが、事業者の義務になっています。
知らずに対応していないと、法律違反になるリスクがあります。
有給休暇が発生する条件
有給休暇が発生するのは、以下の2つの条件を両方満たしている場合です。
①雇入れの日から6ヶ月継続して勤務している
入社してすぐではなく、6ヶ月経過後に初めて有給休暇が発生します。
②全労働日の8割以上出勤している
シフトに入っている日のうち、8割以上出勤していることが条件です。
この2つを満たしていれば、週1日しか働いていないアルバイト講師にも有給休暇は発生します。「週に数コマしか入っていないから関係ない」とは言えません。
学習塾で特に注意が必要なケース
学習塾には、有給休暇の管理が複雑になりやすい特有の事情があります。
①長期勤務のアルバイト講師
大学生が1〜2年以上継続して働くケースが多い学習塾では、気づかないうちに有給休暇が積み上がっていることがあります。退職時に「有給休暇をまとめて取りたい」と言われて、初めて気づくオーナーも少なくありません。
②繁忙期と閑散期の差が大きい
受験シーズン・定期テスト前・長期講習期間は忙しく、夏休み明けや年度初めは比較的落ち着いている。有給休暇を取りやすい時期と取りにくい時期がはっきりしているため、「いつ取らせるか」の管理が難しくなりがちです。
③年5日取得義務への対応
2019年の法改正で、年10日以上の有給休暇が発生する従業員に対しては、年5日を確実に取得させる義務が生じました。取らせていない場合、罰則となる可能性もあります。長く働いているアルバイト講師がいる塾は、特に注意が必要です。
私が塾でアルバイトをしていたころの話
大学時代、私は2つの学習塾でアルバイトをしていました。どちらの塾でも、有給休暇について説明を受けた記憶はありません。「アルバイトに有給なんてない」「シフトで調整してね」という雰囲気が当然のようにありました。
でも今、社労士として法律を知った上で振り返ると、当時の私には有給休暇が発生していたはずです。特に最近ではSNSの影響もあり、大学生でも労務についての知識があるケースも増えています。
双方が「知らなかった」で済んでいるケースも多いですが、スタッフが権利を知って請求してきたとき、対応できる状態になっているかどうかは、今のうちに確認しておく価値があります。
有給休暇の管理でやっておくべきこと
難しく考える必要はありません。まずはこの3つから始めましょう。
①有給休暇の発生状況を把握する
スタッフごとに、入社日・週の勤務日数・継続勤務期間を確認する。有給休暇が発生しているスタッフを把握することが第一歩です。
②取得状況を記録する
誰がいつ有給休暇を取ったかを記録しておく。年5日の取得義務を守れているかを確認するためにも、記録は必須です。
③就業規則・雇用契約書に明記する
有給休暇の取り方・申請方法を書面で明確にしておく。「口頭で伝えていた」では、後でトラブルになることがあります。
「うちは今までトラブルになったことがない」という方へ
有給休暇のトラブルは、在職中には表面化しにくいです。スタッフが辞める時や、辞めた後に「有給休暇が残っていたのに取らせてもらえなかった」と言われるケースが少なくありません。
また、労働基準監督署の調査が入ったときに、記録がなければ対応に困ることになります。
「うちの状況はこれで大丈夫か」と気になった方は、お気軽にご相談ください。有給休暇の管理方法から就業規則の整備まで、一緒に確認します。

