「就業規則、ちゃんと作りました」

そう言いながら、従業員に知られることなく、棚の奥にしまったままになっている—そういったケースが、実は少なくありません。

就業規則は「作ること」がゴールではありません。日々の職場で実際に機能してこそ、意味があります。作ったはいいけれど運用できていない就業規則は、トラブルが起きたときに「あってもなくても同じ」どころか、逆効果になることさえあります。


「作ったけど運用できていない」とはどういうことか

就業規則を作ったのに運用できていない、というのはこんな状態です。

スタッフに周知していない
就業規則は、作るだけでなく「スタッフに周知すること」が法律上の義務です。全員が見られる場所に置く、入社時に説明するなど、周知の方法が定められています。「作ったけど誰も読んでいない」という状態では、就業規則として機能しません。

実態と内容がズレている
作ったときは実態に合っていたのに、時間が経つにつれてズレてきているケースがあります。スタッフが増えた、勤務時間が変わった、新しい手当を設けた——こういった変化が就業規則に反映されていないと、「就業規則にはこう書いてある」「でも実際はこう運用してきた」という食い違いが生じます。

懲戒規定が形骸化している
「無断欠勤3日で懲戒解雇」と書いてあるのに、実際にはそこまで厳しく運用していない。いざ問題が起きて懲戒処分をしようとしたとき、「これまでそんな運用をしてきていないのに、急に言われても」と反論されるリスクがあります。就業規則の内容と実際の運用が一致していることが、いざというときの根拠になります。


法改正への対応が追いついていない

就業規則は一度作れば終わりではありません。労働関連の法律は、毎年のように改正されています。

ここ数年だけでも、パワハラ防止法の施行(中小企業は2022年4月から義務化)、育児介護休業法の改正、フリーランス保護新法の施行、同一労働同一賃金への対応——こういった法改正に、就業規則の内容が追いついていないケースが多くあります。

法改正に対応していない就業規則は、最悪の場合「法律より不利な条件をスタッフに課している」ことになり、その部分は無効とみなされます。「知らなかった」では済まされないケースもあります。


就業規則が「機能している」状態とは

では、就業規則が機能している状態とはどういうことか。3つのポイントがあります。

①スタッフ全員が内容を知っている
入社時に説明を受けて、いつでも確認できる場所にある。「こういうルールがあるんだ」とスタッフが認識している状態です。

②実態と内容が一致している
実際の勤務時間・賃金・休日・手当が、就業規則の記載と一致している。「書いてあることと違う」が起きていない状態です。

③定期的に見直している
少なくとも年に一度、法改正の確認と実態との照合を行っている。変化があれば速やかに改定している状態です。


「一度作ったから大丈夫」から「継続的に整える」へ

就業規則は、作ったタイミングがスタートラインです。その後も職場の変化・法改正・スタッフの入退社に合わせて、継続的に見直していく必要があります。

でも、経営者が自分でこれをやり続けるのは、正直なかなか難しい。現場の仕事をこなしながら、法改正の情報をキャッチして、就業規則に反映させて、スタッフに周知して——これを毎年繰り返すのは、専門知識がないと大変です。

だからこそ、社労士が継続的に関わる価値があります。

顧問契約では、こういった就業規則の定期的な見直し・法改正への対応・運用上の疑問への相談を、継続的にサポートします。「何かトラブルが起きてから相談する」ではなく、「起きる前に整えておく」ための伴走役として関わります。


「今の就業規則、これで大丈夫か確認したい」という方へ

すでに就業規則を作っている方も、一度見直しの機会を持つことをおすすめします。

作ってから2〜3年以上経過している、スタッフ数や働き方が変わった、法改正への対応をしていない、スタッフに周知できているか自信がない——一つでも当てはまる方は、お気軽にご相談ください。

現状を確認しながら、必要な修正点と今後の運用方法を一緒に考えます。