「就業規則、ネットで無料のテンプレートを使っています」
こういった声を、事業者の方からよく聞きます。就業規則を作ること自体は正しい。でも、テンプレートをそのまま使い続けることには、見えないリスクが潜んでいます。
テンプレートの何が問題なのか
ネットで公開されている就業規則のテンプレートは、汎用性を持たせるために作られています。つまり「どんな会社にも使えるように」書かれているということです。
裏を返せば、「あなたの会社の実態には合っていない」可能性が高いということです。
たとえばこんなケースがあります。
勤務時間のズレ
テンプレートには「9時始業・18時終業」と書いてあるのに、実際は「10時始業・20時終業」で運営している。就業規則と実態が違う状態で労務トラブルが起きると、どちらが正しいのか判断が難しくなります。
休日の設定が合っていない
テンプレートは「土日祝休み」が前提のことが多い。でも美容室・飲食・エンタメ系は土日が繁忙日で、平日に休みを設定している。実態と合わない休日の規定が入っていると、有給休暇の計算や割増賃金の判断がずれてしまいます。
業種特有のルールが入っていない
美容業なら技術習得のための研修時間の扱い、芸能系なら不規則なスケジュールへの対応、教育系なら講習期間の労働時間管理—業種ごとに必要なルールは異なります。汎用テンプレートにはこういった業種特有の事情が反映されていません。
「とりあえず作った」就業規則が逆効果になるケース
就業規則は「存在するだけ」では意味がありません。実態と乖離した就業規則は、トラブルが起きたときに会社側の主張を弱めることがあります。
たとえば、テンプレートには「無断欠勤3日で懲戒解雇」と書いてあるのに、実際はそこまで厳しく運用していなかった。いざ問題が起きて「就業規則に従って対応した」と言っても、「実態と違う」と反論される可能性があります。
就業規則は「実際に運用しているルールを文書化したもの」でなければ、いざというときに機能しません。
テンプレートを使うこと自体は悪くない
誤解しないでほしいのですが、テンプレートを参考にすること自体は問題ありません。ゼロから作るより、たたき台があった方が効率的です。
問題なのは「そのまま使う」ことです。
テンプレートをベースにしながら、以下の点を自社の実態に合わせて修正することが大切です。
確認すべき主なポイント
- 始業・終業時刻、休憩時間は実態通りか
- 休日・休暇の設定は実際の運用と合っているか
- 賃金の計算方法・締め日・支払い日は正確か
- 退職・解雇の手続きは実際に運用できる内容か
- 業種特有のルール(研修・シフト・繁忙期対応など)は入っているか
この5つを確認するだけで、テンプレートのリスクは大きく下がります。
「作ったけど、これで合っているか不安」という方へ
すでに就業規則を作っている方も、一度見直しの機会を持つことをおすすめします。特に、作ってから数年が経過している場合は要注意です。法改正によって、対応が必要になっている項目が出ている可能性があります。
「うちの就業規則、これで大丈夫ですか?」という段階からでも、お気軽にご相談ください。現状を確認しながら、必要な修正点をお伝えします。
「まず見てほしい」という方も、お気軽にどうぞ。
