「長く働いてくれているパートさんを正社員にしたい」「本人から正社員にしてほしいと言われた」—薬局経営者からよく聞く相談です。

パートから正社員への転換は、スタッフの定着・モチベーション向上につながる一方で、手続きや条件の変更をきちんと整えておかないと、後々トラブルになることがあります。今日は、転換時に必要な手続きと注意点をお伝えします。


パートから正社員に転換するとき、何が変わるのか

雇用形態が変わると、以下の点が変わります。

労働時間・休日
パート勤務のときと労働時間・休日が変わる場合は、新しい条件を雇用契約書に明記する必要があります。「なんとなく正社員になった」では、後から「聞いていた条件と違う」というトラブルになりやすいです。

給与・手当
基本給・各種手当・賞与の有無など、給与体系が変わる場合は書面で明確にしておく必要があります。特に「正社員になったのに給与が上がらない」「手当がなくなった」という状況はトラブルのもとになります。

社会保険の扱い
パート時代にすでに社会保険に加入していた場合は、引き続き加入したまま転換します。加入していなかった場合は、転換のタイミングで新たに加入手続きが必要です。

有給休暇の扱い
パート時代に取得した有給休暇の残日数は、正社員転換後も引き継がれます。消えてしまうわけではないので、残日数の確認と引き継ぎを忘れずに。

特に残業は、パートは発生しないが、正社員なら発生するということも多いと思います。もともとパートとして働いていたのである程度雰囲気はわかっていると思いこまず、どの程度残業があるか、オンコールは発生するのか、など詳細まで詰めて事前に伝えておいた方がいいでしょう。


転換時に必要な手続き

①雇用契約書の作り直し
正社員転換にあたって、新しい雇用契約書を作成し直す必要があります。パート時代の契約書をそのまま使い続けるのはNGです。労働時間・給与・休日・各種規定を正社員の条件に合わせて作成し、双方が署名・押印したものを保管してください。

②社会保険の手続き
パート時代に社会保険に加入していなかった場合、転換日から5日以内に年金事務所へ資格取得届を提出する必要があります。転換日と同時に手続きを進めることが大切です。

③就業規則の確認
就業規則に正社員転換に関する規定があるか確認しましょう。規定がない場合は、この機会に整備することをおすすめします。


薬局特有の注意点

薬局でパートから正社員に転換する場合、特に注意が必要な点があります。

薬剤師の場合
薬剤師をパートから正社員に転換する場合、管理薬剤師としての役割を担うかどうか、オンコール対応をするのかどうかなど、業務内容・責任範囲が大きく変わります。転換前に、業務範囲・役割・責任について明確に話し合っておくことが大切です。

事務スタッフの場合
レセプト業務・調剤補助など、正社員転換後に担当する業務が広がる場合は、研修期間の設定や評価基準を事前に決めておくと、スタッフも安心して取り組めます。


キャリアアップ助成金の活用も検討を

パートから正社員への転換には、「キャリアアップ助成金(正社員化コース)」が活用できる場合があります。条件を満たせば、助成金を受け取ることができます。

ただし、助成金の申請には事前の計画書提出や就業規則の整備など、一定の要件があります。「転換してから申請しよう」では遅いです。転換を検討している段階で社労士に相談することをおすすめします。


「パートを正社員にしたいけど、どう進めればいいかわからない」という段階からでも、お気軽にご相談ください。手続きの準備から助成金の確認まで、一緒に進めます。