「生徒が増えてきて、一人では回らなくなってきた」「友人に手伝ってもらっているけど、このままでいいのか不安」—ヨガ・ダンス・音楽・英会話など、習い事教室を運営するオーナーからよく聞く相談です。

生徒が増えることは嬉しいことです。でも、人を雇うとなると、途端に「何から始めればいいかわからない」という状況になりがちです。

今日は、習い事教室が初めてスタッフを雇うときに最初にやるべきことを、社労士の視点からお伝えします。


「手伝ってもらっている」状態の落とし穴

まず確認してほしいのが、今の「手伝ってもらっている」状態がどういう形になっているかです。

友人・知人に謝礼を払って手伝ってもらっている、生徒の中から上級者に声をかけてアシスタントをお願いしている—こういった状態でも、実態によっては「雇用」とみなされることがあります。

雇用とみなされると、社会保険・雇用保険の加入義務や、残業代の支払い義務が生じます。「お互い納得してやっている」という関係性でも、法律上は雇用として扱われることがあります。人を使い始めたら、早めに関係性を整理しておくことが大切です。手伝ってもらっている状態ですと、口約束のことが多いです。お互いが納得していても、微妙な認識のずれからトラブルに発展することも少なくありません。


雇用契約と業務委託、どちらにすべきか

習い事教室でよくある選択肢が、「雇用契約」か「業務委託」かという問題です。

雇用契約の場合、社会保険・雇用保険・労災保険の加入義務が生じますが、シフトや業務内容を細かく指示できます。スタッフとして一緒に教室を運営していく場合に向いています。

業務委託の場合、社会保険の加入義務はなく、成果に対して報酬を払う形になります。ただし、細かく指示を出したり、決まった時間に来てもらって教室の一員として動いてもらったりしている場合は、実態は雇用とみなされるリスクがあります。ここで気を付けてほしいのが、源泉税の発生もありうるということです。業務委託の場合は固定の金額を払えばいいと思われがちですが、業種によっては源泉税の計算も必要です。税理士にも確認しましょう。

「業務委託にしておけば社会保険を払わなくていい」という理由だけで選ぶのは危険です。実態に合った契約形態を選ぶことが大切です。


初めてスタッフを雇うときにやること

雇用契約で人を雇う場合、以下の手続きが必要になります。

①労働保険(労災保険・雇用保険)の成立手続き
初めてスタッフを雇った日から、労働保険への加入義務が生じます。手続きは労働基準監督署またはハローワークで行います。これを忘れると、万が一スタッフがケガをしたときに大変な事態になります。

②社会保険(健康保険・厚生年金)の手続き
正社員だけでなく、週の所定労働時間がフルタイムの4分の3以上(おおむね週30時間以上)であれば、社会保険への加入が必要です。(規模によります)

③雇用契約書・労働条件通知書の作成
いつから、何時間、いくらで働いてもらうかを書面で明確にしておく必要があります。「口頭で決めた」では、後から「聞いていた条件と違う」というトラブルになりやすいです。

④就業規則の検討
常時10人以上のスタッフがいる場合は就業規則の作成・届出が義務になりますが、それ以下でも簡単なルールを書面にしておくと、後々のトラブルを防げます。

業務委託をお願いする場合にも、必ず業務委託契約書を交わすようにしましょう。
業務委託の場合は労災の対象外になります。体操教室など業務中にケガの発生が起こりうる場合はこの点をしっかりとお互いが認識しておくようにしましょう。


京都・宇治エリアの習い事教室オーナーへ

京都・宇治エリアには、個人や小規模で丁寧に運営している習い事教室がたくさんあります。生徒との距離が近く、地域に根ざした教室だからこそ、スタッフとの関係も大切にしたいという方が多いと感じています。

「人を雇いたいけど、何から始めればいいかわからない」「今の状態が法律上問題ないか確認したい」—そういった段階からでも、お気軽にご相談ください。オンラインでの対応も可能ですので、宇治・京都市内に限らず全国からご相談いただけます。